10. スケジューリング (Scheduling)

この章では、NG-RAN (主にgNB) がUEに対してダウンリンク(DL)およびアップリンク(UL)の無線リソースをどのように割り当てるか、すなわちスケジューリングの基本的な仕組みについて説明します。

10.1 基本的なスケジューラ操作 (Basic Scheduler Operation)

MACレイヤのスケジューラは、無線リソースを効率的に利用するために、動的なリソース割り当てを行います。その基本動作は以下の要素に基づきます。

10.2 ダウンリンクスケジューリング (Downlink Scheduling)

ダウンリンクでは、gNBUEに対して動的にリソースを割り当てます。

10.3 アップリンクスケジューリング (Uplink Scheduling)

アップリンクでも、gNBUEに対して動的にリソースを割り当てます。

10.4 スケジューラ操作をサポートする測定 (Measurements to Support Scheduler Operation)

スケジューラが効率的に動作するために、以下の測定と報告が重要です。

10.5 レート制御 (Rate Control)

10.5.1 ダウンリンク (Downlink)

gNBは、GBRフローに対してはGFBRを保証しMFBRを超えないように、非GBRフローに対してはUE-AMBRを超えないようにレートを制御します。GBRフローにMDBVが設定されている場合、それも超えないようにします。また、UE-Slice-MBRがサポートされている場合は、それも超えないようにします。

10.5.2 アップリンク (Uplink)

UEはULレート制御機能を持ち、論理チャネル間のULリソース共有を管理します。RRCは各論理チャネルに優先度、PBR (Prioritised Bit Rate)、BSD (Bucket Size Duration) を設定します。マッピング制限も設定可能です。

ULレート制御機能は、以下の順序で論理チャネルにサービスを提供します:

  1. 関連する全ての論理チャネルを優先度の高い順に、それぞれのPBRまで。
  2. 関連する全ての論理チャネルを優先度の高い順に、割り当てられた残りのリソースで。

同じ優先度の論理チャネルは均等に扱われます。

10.6 アクティベーション/ディアクティベーションメカニズム (Activation/Deactivation Mechanism)

CA設定時のUEバッテリー消費を抑えるため、SCellのアクティベーション/ディアクティベーションがサポートされます。

10.7 E-UTRA-NR セルリソース協調 (E-UTRA-NR Cell Resource Coordination)

NRセルがE-UTRAセルと重複または隣接するスペクトラムを使用する場合、ネットワークシグナリングによりMACレベルでのTDM/FDMリソース協調が可能です。gNBとng-eNBの両方がXnインターフェースを介して協調手順をトリガーできます。

10.8 クロスキャリアスケジューリング (Cross Carrier Scheduling)

CIF (Carrier Indicator Field) を用いたクロスキャリアスケジューリングにより、あるサービングセルのPDCCHが別のサービングセルのリソースをスケジュールできますが、以下の制限があります。

10.9 IAB リソース設定 (IAB Resource Configuration)

IAB-node (IAB-DUIAB-MT) では、半二重制約(送受信の衝突)を考慮したリソース設定が必要です。

10.10 IDCのための自律的拒否 (Autonomous Denial for IDC)

ネットワークは、デバイス内共存 (IDC) 干渉を管理するため、CGごとの長期的な拒否レートをRRCシグナリングで設定できます。設定されると、UEは自律的にNR UL送信を拒否(Denial)できます。設定されない場合、UEIDCのための自律的拒否を行いません。

10.11 単一DCIによるマルチセルスケジューリング (Multi-cell scheduling by a single DCI)

単一のDCIで、サービングセルのPDCCHが1つ以上のサービングセルのPDSCH/PUSCHをスケジュールできますが、以下の制限があります。