14. UE Capabilities (UE能力)

UE Capabilitiesは、UEがサポートする様々な無線アクセス機能を示す情報です。NG-RANはこれを基にUEへの設定や制御を行います。

能力情報の構造と特徴

• 階層構造: NRのUE Capabilityは階層的に定義されます。
  • UE全体で共通の能力 (例: SDAP, PDCP, RLCパラメータ)
  • Duplexモード (FDD/TDD) ごとの能力
  • 周波数レンジ (FR1/FR2) ごとの能力
  • 周波数バンドごとの能力
  • バンドコンビネーションごとの能力

  注記: 一部の能力は常にUE全体で定義されますが、MACや物理レイヤの能力などは特定の条件（バンドなど）に依存する場合があります。詳細はTS 38.306 [11] を参照してください。

• UEカテゴリ非依存: NRでは、E-UTRAのような固定的なUEカテゴリ（特定のピークデータレートに紐づく）はシグナリングには使用されません（マーケティング目的のみ）。
• ピークデータレート計算: 特定のバンドまたはバンドコンビネーションにおけるピークデータレートは、各キャリアの能力に基づいて計算されたピークデータレートの合計となります。
• Feature Set:
  • バンド内の連続したサービングセルのブロックでサポートされる機能セットを定義します。
  • 1つのバンドに対し複数のFeature Set (Feature sets per band) を示すことができ、異なる機能の組み合わせをネットワークに提示できます。
  • バンドコンビネーション全体のFeature Setの組み合わせ (Feature set combination) は、各バンドのFeature Setのマトリクスで表現されます。各バンドコンビネーションは1つのFeature set combinationにリンクされます。

  

• Per Carrier Capability: Intra-band Contiguous CAにおける一部の機能については、キャリアごとに個別の能力を報告します。
• 能力フィルタリング: シグナリングオーバーヘッド削減のため、gNBは特定のバンドセットに関する能力のみを要求できます。UEは、要求されたバンドコンビネーションの一部を省略して応答することが可能です（Fallback挙動）。eRedCap UEはフィルタリングを無視して全サポートバンドを報告することも可能です。
• Capability ID: UEとネットワークがサポートする場合、UEは自身の無線能力を示すIDをNASシグナリングで提供できます。IDは製造者またはサービングPLMNによって割り当てられます。

能力情報の流れ

• UEからgNBへ: ネットワークからのUECapabilityEnquiry要求に応じて、UEはUECapabilityInformationメッセージで能力を報告します。
• gNBからAMFへ: gNBは取得したUE無線能力 (NRおよびE-UTRA) をAMFにアップロードします。AMFはこれを保存します (TS 23.501 [3]参照)。
• UTRAN能力: gNBはUEにUTRAN-FDD能力を要求できますが、これをAMFにアップロードはしません。ハンドオーバー前に要求することが推奨されます。